恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
本当に……和泉くんじゃないの?
聞きたいけれど、声が出ない。
動揺している私を安心させるためにか、和泉くんはわずかに微笑んで話を進めた。
「本当の和泉孝広が先週海外から帰ってきてる」
「え……?」
「王子だなんて思うほど、好きだったんだろ?
高校の時からずっと……。
会いたいなら、孝広の電話番号を教えるよ」
答えられずにただじっと見つめていると、和泉くんがツラそうに顔を歪めながら微笑んだ。
本当になんとか笑ってるって感じで。
「ごめん。本当なら莉子を抱く前に事実を言うべきだったのに、どうしても気持ちを抑えきれなくて……。
騙すような事をして本当に悪かった」
ツラそうな表情で頭を下げた和泉くんに、口を開いた瞬間。
私の携帯が鳴った。
和泉くんとの会話と電話、どちらをとるべきか悩んだけれど、静かな部屋に響く着信音に急かされるようにポケットの中から携帯を取り出した。
佐和ちゃんからの着信だと確認してから携帯を耳に当てる。
途端に、大声が耳をつんざく。