恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
とにかく、自殺なんてしないから。
そう言うと、和泉くんはじっと私の顔を見た後、ならいいけどと呟く。
「で、こんな荷物抱えてこれから行くあては?」
「安いホテルでも探そうかと思ってて」
「安いっていったって、この辺のホテルは駅近いし高いだろ」
「そうなんだよね。だから少し歩いて駅から離れようかなって」
「歩いてって、これから? どこまで歩いていく気か知らないけど、明日平日だし仕事だろ」
「あ、大丈夫。仕事今日でクビになっ……」
そこまで言いかけてからハっとして口を塞いだけれど、時すでに遅し。
見上げると和泉くんの眉間にまたシワが寄っている事に気づく。
普通に会話してた流れで、ついうっかり話してしまった事を今更後悔する。
別にそこまで隠したいわけでもなかったけれど……。
浮気されて殴られて部屋を追い出された挙句クビだなんて、あまりに不憫に思われそうで、なるべくなら言いたくなかった。
しかも、好きだった和泉くんになんて特に知られたくなかった。
「クビ?」
「……まぁ、うん」
もう誤魔化しても無駄だと思い素直に頷くと、和泉くんが聞く。