恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
「孝広、あまり酒強くないから。今日は無理して飲んでたみたいだから許容量超えたんだろ」
「え、強くないの?! すごい飲んでたのに……」
なんでそんなに無理して飲んだんだろう。
奏一くんとの久しぶりの再会がそんなに嬉しかったんだろうか。
そんな風に思っていると、奏一くんが言う。
「多分、俺と莉子のために今日は来たんだろ。
一度三人で顔合わせておけば、この後気まずい思いになる事もないから。
わだかまりを消すために今日来たんだと思う」
「あ……」
「昨日、孝広から今日の事で電話があったけど、その時、莉子に振られた事を言ってた」
「え……っ」
「俺と莉子が両思いなのを知りながら横取りしようとして悪かったって。
でも振られたしそれでチャラだろって笑ってた。
孝広はなんでもない風にしてるけど、莉子の事、軽い気持ちだったわけじゃないと思う」
「そうなのかな……」
「第一、高校の時も本気だったから莉子の想いを受け入れなかったんだろうし」
俺の勝手な憶測だけど、と呟くように言った奏一くんを見つめていると、和泉くんを見ていた瞳が私を捕える。
そして意味深に微笑んだ。