恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


「顔しかめてるから、嫌な思いさせちゃったかと思って」
「嫌な思いしたのはおまえだろ」
「でも、それを聞かされて嫌な気持ちに……」
「それも、俺が聞いたから答えただけだろ? なんでそんなに自己犠牲な考え方なんだよ」
「……自己犠牲?」
「彼氏に対しても、他の女に対しても、悪いのは明らかにおまえじゃなくて相手だろ。
なのにそれを責めもしないで自分が悪い事にして、挙句、関係ないのに根掘り葉掘り聞きだした俺の機嫌うかがって」

バカじゃないのか、と正面きって言われて呆気にとられる。

記憶の中の和泉くんは決して言わないような言葉だったのもあるけれど、こんな風に真正面からバカだなんて言われたのは、言葉を知らずにケンカって言えばバカって言えばいいと思っていた小学生以来だったから。

見下しているような冷たい瞳が、ポカンとしたままの私を責める。

「その件に関しては確かに彼氏だとか周りの女が悪いけど、おまえにも責任はあるのかもな。
自分の感情を隠して周りの顔色ばっかうかがってるようなヤツ、誰が見てもイライラするだろうから」

――自分の感情を隠して周りの顔色ばっか伺ってる。
図星をつかれて、何も言葉が出てこなかった。


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