恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


そしてそんな中で一ヶ月弱仕事をして、会社を辞めて部屋に戻ると、居座っていた彼に出て行けと言われた。

元々私の部屋だったし、別れた時、てっきり彼が出て行くものだと思っていた。
だから、正直いつ出て行くんだろうなぁと一ヶ月考えていただけに、出て行けって発言には思わず耳を疑った。

彼の浮気で別れる事になったとは言え、事情もあるだろうしと、すぐに部屋を出て行って欲しいとは言えずにいた私に、まさか彼からそんな言葉を投げつけられるとは思ってもみなかったから。

だから、それはあんまりだと思って、浮気の事だとかそれまで我慢してきた事をぶつけるように、出て行くのはそっちだと弱々しく言った途端。
平手と暴言と私の荷物が次々に飛んできたってわけだ。

あんなに一度にものが飛んできた状態を初めて見た気がする。

今までの人生だって順風満帆だとは思わなかったけれど、それなりにうまくやってきたつもりだったのに。

そこまで話してから、人生本当に何が起こるか分からないね、と笑って見上げたけれど。
和泉くんは眉間にシワを刻んだまま私を見て黙っていた。

シワの理由が、私に対する嫌悪感からなのか、哀れみからなのかは分からないけれど。
困らせているというか、苛立たせているというか、なんにせよ私が和泉くんを不機嫌にしている事は確かで。

「ごめんなさい……」

申し訳なく感じて謝ると、和泉くんは少し黙った後、なにがと聞く。


< 21 / 221 >

この作品をシェア

pagetop