恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
あとがき


――シンデレラは本当はわざと靴を落としたんじゃないのか。

私がそんな話を初めて耳にしたのは、確か中学の頃でした。
その時の私の感想は、随分ひねくれたモノの見方をするんだなぁというものでした。
で、そのすぐ後に、ひねくれたというよりは、想像力が豊かなのかなと。

私は文章のまま受け取ってそれ以上考えたりもしなかったので。
だから違った見方をできる人がいるって事が、衝撃的でした。

でも、もしシンデレラがわざとそうしたとすれば……。
シンデレラも王子様を手に入れるために必死だったのかなと、恋する乙女だったんだなとそんな感想です。
(そんなガッツあったなら、自力で舞踏会行けたんじゃないかとも思いますが)
それをずるいだとか思わないのは、私もそういうずるい大人になってしまったからかもしれません。

それに、靴を落としたところで探すか探さないかは王子様次第なわけですしね。


どうでもいい話を書かせて頂くと、莉子の性格は、私の中学の頃の性格を元にしました。

優等生というか、正義は正義!みたいな感じの子で、お人よしで八方美人で。
だから、他の子がしているケンカに首を突っ込んだりして優等生発言をする度に、いいこぶって!みたいな言葉を浴びて育ってきました。
部活でキャプテンをしていたんですが、みんなが色々な意見を出すからそれを取りまとめようと悩んだりしていると他の部員に、「先生に取り入って人気取りしてる~」みたいに言われたり。

結果、ああそうかーと悟って高校からは誰とでも一線引いて付き合うようになりました。
そしてその方が楽だったので、今もそのままな気がします。
いくら正しい事でも、多数決で負ければそれは正しくない事になってしまうのかと中学の頃一度感じてしまったら、だったらもう自分の意見を主張する必要はないなと。

正しい事をしたい。困ってる人がいたら助けたい。
そう思って行動した結果がいい子ぶってるなんて非難の言葉で返ってきてしまって、また私も子どもだったので、おかしいのはそっちだと強くは思えませんでした。
弱かったんですね。

だけど、やっぱり少しだけ心残りがあったりしたのか、物語の中の莉子は最後までそのままでした。
奏一に何度となく注意もされてるし、奏一との関係を守るために周りに対して警戒したりだとか多少ずるくなったりとか、少しずつ変わっていってもいいかなと思いながら書いていましたが、最後までのほほんとしたままでした。
物語中でも奏一に言われてましたが、あのままじゃ絶対社会復帰した時同じ事が繰り返されると思うと心配です。

本人がそこまで深刻にとらえずにへこたれないからまだそこが救いですが。
でも、できる事なら私もああなりたかったなぁというのがどこかにある素直な思いなのかもしれません。





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