恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
誰か教えて欲しい。
誰か、私の期待で膨らんだ風船を割って。
和泉くんに迷惑をかける前に。
「で、その風船を切り刻む役が私なわけね」
久しぶりに来た佐和ちゃんの部屋は、高校の時からちっとも変わっていなかった。
事務所?って聞きたくなるくらいに物がない。
ローテーブルにソファ、そして棚があるけど、しまえる物はすべて目の見えない場所にしまってあって、つまりものすごくキレイだって事だ。
ずっと本物だと思っていたところどころに置いてある観葉植物がフェイクだって知ったのはつい最近の話。
歯に衣着せぬ言葉を並べる佐和ちゃんだけど、実は草花を愛でる優しい心の持ち主なんだって勝手に思っていたのだけど。
一年ほど前遊びにきた時にそれとなくそんな話題を出したら、そんなもの愛でてる暇も豊かな心もないと、スパっと言われてしまった。
期待が裏切られたわけだけど、まぁそれでこそ佐和ちゃんかと変に納得した私に、佐和ちゃんは命に限りのあるモノはいつか別れなきゃだから好きじゃないと呟いて。
それを聞いて、やっぱり心の優しい人だと思い直したのは、怒りそうだから佐和ちゃんには内緒だ。