人知れず、夜泣き。


 次に入ってきたのは男性客。

 「・・・・・・」

 『いらっしゃいませ』の声が出なかった。

 「・・・オレが行く」

 橘くんが、無言で固まるワタシの横を通り過ぎた。


 神様は、病み上がりのワタシに容赦ないらしい。

 入って来たのは、悟だった。



 「・・・・・・なんで??」

 悟はどうして、ワタシの働くお店にやってきたのだろう。
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