人知れず、夜泣き。

 「・・・もう、こうして弁当作ってもらうのも無理だよね」

 美味しい木内の弁当も、木内との楽しい時間も、今日で終わり。

 「・・・なんで?? もう食べてくれないの?? さすがに橘くんに彼女が出来たり、好きな人が出来たら辞めようとは思ってたけど・・・もしかして、いるの??」

 木内が、悲しそうな目でオレを見た。

 逆でしょ。 悲しいの、オレの方でしょ。

 「木内さんにはいるでしょ。 木内さん、結婚するんでしょ」

 やけ食いの様にクリームコロッケを口に突っ込む。

 もう食えないんだと思うと、いちいち美味い木内の弁当に腹が立つ。



 「・・・・・・指輪、返品しちゃった」
< 118 / 161 >

この作品をシェア

pagetop