人知れず、夜泣き。

 「なんかムカツクし。 てゆーか橘さん、ワタシに感謝して下さいよ」

 佐藤が、可愛い自覚アリの唇突き出し状態をキープしながら話し続ける。

 「何を??」

 「ワタシが悟と木内さんの間に割って入らなかったら、橘さんが木内さんと付き合う事もなかったかもしれないんだから」

 今度はほっぺを膨らませる佐藤。

 女子ウケは悪いのだろうが、ぶりっ子をしている女子は『あぁ、今ブリブリしてるな』って気付いていても、やはり可愛いいと思ってしまう。 

 そして、佐藤の言い分は一理ある。

 桜、一途だし、浮気するタイプじゃないし。

 「ありがとう、佐藤さん」

 なんだかんだ、佐藤には感謝。 グッジョブ、佐藤。

 「どういたしまして。 お礼はいいので、連絡先を教えて下さい」

 可愛い顔して肉食の佐藤はめげなかった。 なので、

 「丁重にお断り」

 断固、拒否。

 「もぉぉおおおッッ!!」

 佐藤がオレの腕を前後に揺らしながら憤慨した。

 なんだかんだ、佐藤はおもしろい。

 佐藤をからかいつつ、笑いながら無事佐藤を家まで送り、オレも自宅に帰った。
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