人知れず、夜泣き。
「・・・犯人、まだ捕まってないんだって」
オレの胸の中で桜が小さく震えていた。
よっぽど怖かったのだろう。
「大丈夫。 桜はオレが守るから。 大丈夫だから」
桜を抱きしめながら、桜の背中を擦る。
「うん。 ワタシは大丈夫。 病院にいるから、もう襲われない。 だから、佐藤さんを守って」
桜が、その痛々しい腕でオレの胸を押して身体を離した。
「・・・なんで佐藤さん??」
なんで佐藤が出てくんの??
今、佐藤は関係ないじゃん。
「・・・昨日、見た。 2人で腕組んで歩いてるとこ」
俯きながら鼻を啜る、今にも泣きそうな桜。