人知れず、夜泣き。

 作った料理を全て運び終え、ワタシもいつもの場所に座った。

 「悟、ゴハン出来たから食べようよ」

 悟の肩を軽く揺すると、

 「今、いいとこだから先食ってて」

 悟にその手を払われてしまった。

 ・・・いつもの事、いつもの事。

 自分に言い聞かせ、悟のゲームの終了を待つ。

 まだ泣くな。 泣くのは1人になってから。




 暫くすると、悟がコントローラーを床に置き、代わりに箸を持った。

 「先に食ってろって言ったのに」

 『いただきます』も言わずにロールキャベツを口に入れる悟。

 ・・・ちょっと冷めちゃったかな??

 「・・・おいしい??」

 「うん」

 かろうじて無視はせず、返事だけはしてくれる悟。

 橘さんだったら、もっと喜んでくれたかな。

 『美味しい』って言ってくれたかな。

 2人、ただテレビを見ながら黙々と食べる。
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