彼女の世界が変わらぬ理由
中村はシワだらけの手を差し出してきた。
「はじめまして、中村です」
「は…じめ、まして。柚木です…」
「今日は二、三、確認したいことがあって参りました」
「はい…」
「本来ならば、審査の途中に出展者と会うべきではないのですが、少々不測の事態が起こりまして」
ふう、と小さく息を吐き、中村は膝の上で手を組んだ。
「先日出展いただいたあなたの作品ですが、まず一次で選考から外れました」
マリアは黙って頷いた。
通るなどとは思っていなかったので、悲しみはない。
ただ、審査結果を通知より前に中村が話したことに驚いた。
「現在は三次まで選考が進んでおります。その中の作品にですね、大変な力作がありまして。いまにも絵が動き出しそうな、魂が注ぎ込まれたようなね」
「魂…」