彼女の世界が変わらぬ理由
美術室の窓の外には、校庭の中でもひときわ大きな木が立っていた。
冬であったから木は枯れていて、何の木かもわからず、マリアはぼんやりと眺めていた。
半月以上過ぎた頃、その木が桜だということを知った。
少年が、図書室から図鑑を持ってきて見せてくれたのだ。
なんて素敵な花だろう。
マリアは強烈に憧れた。
この花が咲いているところが見たい。
いつ桜が咲くなんて知らず、それから期待を込めて美術室の窓から枯れ木を眺めるようになった。
けれど真冬に桜など咲くはずもなく。
そのままひと月が経ち、両親が迎えに来た。
東京に行くことになり、マリアはまた泣いた。
桜が見られなかったことが悲しくて。
東京に桜があることも知らずに泣いた。