彼女の世界が変わらぬ理由
あの時の少年が、いまどこで何をしているのかは知らない。
けれどあれだけ絵が上手く、あれだけ絵が好きな彼であったから、きっと絵は描き続けているだろうと、ずっと思っていた。
美大生や、芸術系の専門学校などに進んでいるだろうと。
それならば、マリアがあの絵を描いて、コンクールに出展し続けていれば。
それで賞をとったりしていれば、いつか彼が見て、気づいてくれるかもしれない。
それだけの理由で、マリアはあの絵を描き続けていた。
賞が取れるよう、少しでも上手くなろうと努力し、勉強した。
変わり者と言われても、ひたすらあの絵を描き続けた。
けれど昨年賞をとっても何も変わらず。
十年が経ち、あきらめかけていた。
彼はもう、絵描きの道にはいないのかもしれない、と。
だから今回で最後にしようとして…。