彼女の世界が変わらぬ理由
『さて、そんなに僕の話をしていてもつまらないでしょう。いまから皆さんに、絵を数点ご紹介します』
飛田が合図を送ると、脇に控えていたアシスタントらしき人が、キャンバスを五枚、イーゼルに立てて並べていく。
飛田はマイクを持ちながら、絵の前に立った。
「へえー。誰の絵だろうな? 飛田宗一郎のじゃなさそうじゃね?」
「え?」
久米に話しかけられ、十夜は考えるのをやめて前を向いた。
『これらの絵は、すべて同じ作者によって描かれています。同じ題材を、同じ構図で描いてありますが…』
五枚の絵は、大別すると三色で構成されていた。
上から青、桃、白。
深く光を通し、全体が澄んだ輝きを放っている。
幾度もほどこされたグレイス(重色)。
徹底された透明感。
この絵を、
いや、この景色を、十夜は知っていた。