Bitter Sweet
10.もつれる糸
菜央達と会ってから一週間後。

仕事の状況を見て、ようやく飲みに行けそうな夜が訪れた。


私の隠れ家なお店へ、

しばらくぶりに足を踏み入れる。


入ると、いつもいる店員さんがまた声をかけてくる。

「いらっしゃいませ!忙しかったんっすか?全然顔見せてくれないんですもん。」

ちょっぴり文句を言いながらも、指定席に案内してくれる。

「うん、ちょっとねー。ところで…アイツは来てる?」

店員さんに探りを入れてみる。

「あぁ、あのイケメンさん?あの人もしばらく来てないんですよねぇ。」

首を捻りながら答えてくれる。

「…そっか。ありがと。じゃあ、とりあえず生ね。」

「はい、すぐお持ちしますね!」

にこやかに店員さんが去った後、
私は大きくため息を吐いた。
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