Bitter Sweet
2.再会
次の日。

「おはようございまーす!」

朝、出社すると、自分の向かい側の席に見慣れないカバンが置いてあった。

あぁ、今日から中途採用の人が来るんだった。
昨日飲んでた時に、高梨とその話してたっけ。


課長の席の前では、うちの課では見かけない長身の男性が立って話をしている。

あの人か。アリタさん、だったかな。

こっち来たら、挨拶しよう…

そう思いながら支度をしていると、
カツンカツン、と足音が私の席の後ろから聞こえてきて、

おはようございます、と声をかけられた。

挨拶しようと慌てて立ち上がって、その声の主を見た途端。


「「……あ!?」」

2人の声が重なった。


驚きのあまりその後の言葉が出てこない。


「…っ、久しぶり…。この会社だったんだな。」

はにかんだような、少し戸惑ったような。でも、眼鏡の奥に見える優しい瞳で、私を見つめる彼。

変わってない。

あれから10年位経ってるのに。


「お、驚きです…お久しぶりです…」

やっとの事で出た一言。

ホントに。

私の心臓、弾けるんじゃないかってくらい、ドクンドクン、うるさい。



一瞬で彼との出来事が、思い出が。
フラッシュバックする。

彼。

有田 昂介(こうすけ)。


…なんと私の元カレだった。





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