Bitter Sweet
「オレね、前にチラッと話したことあったかもしんないけど。…今、ひかりさんが言ったような事が理由で何度か別れたことあるんだ。」

あ。

そういえば…。

飲んでる時に、淋しそうにその事を話す高梨を見た気がする。

「オレがどんなに好きな理由とか説明してみても、信用されないんだよな。」

淡々と高梨は話を続ける。

「まぁ、オレを好きだってコの中には過激な事してくるコもたまーにいるから、"彼女"はそれに耐えられない。女のやっかみをマトモに受けちゃうわけだから。最近はないけど、特に学生の頃はね。」


はぁ、と白い息を吐きながらやり切れなさそうに話す高梨は、見てて少し、イタくなる。

「オレがそーゆうのから守りきれなかったのも情けねーって話だけどさ。でも、オレをもうちょっと信じてくれてもいいのにな、と思うわけ。」

ようやく、こちらを向いてくれた高梨の顔は、眉が下がり、口元も歪んでいた。


「そんなのが続いて、しばらく恋愛には冷めてたんだけど。…ひかりさんに会って、どんどんハマってくオレがいて。しかもこんなに振り回されんのも初めてでさ。」


握っていた手にキュッと力が込められる。


「だから、ひかりさんが不安になるようなこと、したくない。オレは正直、さっきみたいに言いよってくるコ達より何倍もひかりさんが大事。」

柔らかく微笑んで言ってくれた最後の言葉が嬉しくて、

私の心にジンワリと沁みて溶けていく。

と同時に、ストン、と何かが私の中でハマる音がした。


きっと、勝手に不安になって、私が今までの彼女達みたいに高梨から離れてくのを、彼が何よりも怖がってるのが分かったから。


当たり前といえば当たり前なんだけど、

高梨はどうでもいい人とは付き合わない。


「今度から女の子に声かけられても、無視するよ。クール路線に変更。どう?」

先ほどまで少し痛々しかった表情はなくなり、二カッと笑って肩を組んでくる。

私は苦笑しながら、

「…似合わないよ。」

と言って、高梨の人懐こい瞳を見つめた。
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