Bitter Sweet
「じゃあさ。せめて、相手がいるってことくらいはそれとなくバラす?誰かって問いにはひたすら笑顔でごまかして。」

ひかりが、そう提案してきてくれたことに、オレは内心、驚いていた。

言ってみたものの、どうせまた「ダメ」って言われると思っていたからだ。

「聞いておいて何だけど、いいの?」

オレが聞くと、ひかりは気まずそうに肩を竦めて言った。

「いい加減、蓮の取り巻き、何とかしたくなってきたからね。彼女達の前で会話するの、どんだけ気を遣うか知ってる?」

…そうか。

考えてみれば、女同士のイザコザを起こさないよう、ずっと気遣ってくれてたんだよな。
そういうのに、巻き込まれたくないって言ってた人が。

「ごめん。」

言いながら、キュッとひかりを抱き寄せた。

「オレ、そんなことより…。自分の感情ばっか先走ってた。」

「蓮?」

何のこと?、とオレの腕の中で首を傾げる。
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