Bitter Sweet
「えっ、やっぱそーなのかよ!?どうなんだよ、高梨。」

有田さんが会話の冒頭で吐いた毒はスルーし、そこだけ突っ込んできた峰さん。

今は残業中で、オレ達のシマにはたまたまこの四人しかいない。
だから、こんなアホな会話を大っぴらにしてるんだが。

まぁ、チャンスだな。

有田さんって分かっててやってんのかな。
この、間の良さには頭が下がる。

「まぁ。いい大人ですから。彼女くらいいますよ。」

「なにーっ!?」

大声を出して驚く峰さんにこっちがびっくりした。


「なんで今まで黙ってたんだよ!隠すようなことか?…あっ、さては!」

なんとなく、ギクッとして峰さんの次の言葉を待っていると。

「わかった!社内不倫でもしてんだろ、お前の事だから!誰だよ、相手。言ってみ?内緒にしといてやるから。」

ワクワクして問いただしてくる峰さんに、思わずコケそうになった。

「社内不倫なんてしてたら、絶対言わないですよ。しかも峰さんになんて危なくて、とてもムリです。」

オレはシラッと答えながら隣を盗み見た。

ひかりは、声を出して笑うのを必死に堪えてる様だった。


…笑ってる場合か?

まるで他人事なんだから。
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