Bitter Sweet

なんだか妙に素直な高梨に、
思わず笑いが込み上げてしまった。

「…この歳になって、人にそんなこと聞かれると思わなかったよ！」
ププッと、堪えきれない笑いが漏れる。


なんだか不服そうな高梨を尻目に、私は、正直なところを話そうと口を開く。


「…キライとかじゃないよ。巻き込まれたくないから、あえて関わらなかっただけ。」

こっちを見た高梨は、
明らかに疑問符を浮かべた顔をしていた。


溜息をつきながら、私は続けた。

「あんたのファンに睨まれんのがめんどくさいって話よ。自分がモテるの、自覚してんでしょ？
みんな、あからさまじゃない。」


「…あ～、そういう理由。なんか納得。…でも」

口元をニヤっと歪めてヤツは言った。何故か上目遣いで。

「オレに全くキョーミない女の人、珍しい。面白いよね、桃瀬さん。」
心底愉快そうな笑みを浮かべている。


「……はァ？！」

何コイツ！！
悪びれもせず、いけしゃあしゃあと。
自分に好意を抱かない女はいないと！？
言ってのけた高梨に、思いっきり眉をひそめた。