魅惑のキスネコ!【完】

玄関に向かうシュンを
よろよろと追いかけた。

靴を履き始めるシュンに
なんて声をかければいいか分からない。


「これ、俺の携帯の番号。」

一枚のカードを差し出され
受け取った。

「これ・・」


”OOアクションプロダクション
スタントマン SHUN ARAGAKI"

そして電話番号が書いてある。
・・名刺。


「すたんと・・まん?」

「うん、俺本業はスタントマン。
まだ大した出演作品はないけど」

「・・・そうなんだ」

シュンの新しい顔をまた一つ見せられて
ズキッと胸が痛む。

「カナが最初に見たしっぽも、
撮影で使われてたやつなんだぜ。
本物そっくりだったろ?
頭にチップをつけると脳波で動くんだよ」

「・・・・・・」

「・・ゴメン。
余計な事だったな」

目を潤ませるあたしに
シュンが気づく。

シュンとの思い出が
いっきに溢れ出しそれが涙になった。

我慢しようと頑張るけど
その気持ちとは逆に
視界がぼやける。


「カナっ・・・」

シュンに身体をひきよせられ
その腕に抱かれた。


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