魅惑のキスネコ!【完】

「カナ・・。
今日のところは
帰ってくれないか?」

ジンにそういわれ
あたしはこくりと頷いた。

僅かかもしれないけど
きっとあたしの思いは
サヤカちゃんに伝わったと思ったから。


あたしは玄関で靴を履き
引き戸を開けた。

車に乗り込もうとしたら
ジンにそれを押さえられる。


「ジン。」

振り返ると
ジンはバッと頭を下げた。


「ゴメン・・!
カナ。
僕・・。
カナのいう事
全然信じなかった。
本当にごめん。」


あたしは慌てて首を振る


「そんな・・!!
信じられなくて
当然だよ。
騙されてたあたしが
バカだったから。」


「でも僕は・・。
もっとカナの話を
聞くべきだった。
カナを信じるべきだった。
それなのに。」


「ジン・・」


「カナ。
シュンからの手紙、
カナの方にも入ってた?」


「あ、うん。
入ってたよ。」


「そうか・・。
シュンには本当に
悪い事をしたと思ってる。
僕ら兄妹のせいで
本当に迷惑をかけた。
それに、カナにも」


「・・・ジンのせいじゃないよ。」


「カナの、
好きなようにしていいからな」


「え?」


「カナがもし
シュンの所に行きたかったら
僕は・・止めない。
止める権利なんてない。」


「なんの事・・?」


「シュンからの手紙にあったんだ。
”カナの事を愛している”って。
そうかかれてたよ」


「えっ!」

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