魅惑のキスネコ!【完】
キスの温度


季節は秋を過ぎ
寒い冬もだいぶ残り少ない所まで来た。

町はすっかりバレンタインムードで
どこもかしこもあと数日のその日を
待ちわびている。


今日もいつも通り、
ジンを仕事に送り出す。

去年と変わった事は
今年になってポパイが
ジンの前にも現れるようになった事。


でもまるで、
あたしを守るかのように
あたしの傍をくっついて離れないんだけど。


「じゃぁ行ってくるね。」


「うん、行ってらっしゃい。」

キスをするあたし達の足元で
ポパイがその行為をジーーッとみつめる。


その視線に気づいたジンは
気まずそうに唇を離した。


「まいったな。
いっつもいっつも。
そんなに見るなよポパイ・・。
僕はカナを食ったりしないよ」

ポパイは何も言わずに
ただジンを見つめた。


「ふふっ、
ポパイはヤキモチ焼きだから
しょうがないよ」

あたしが微笑むと
ポパイは「みゃー」とないた。


ジンは苦笑いのまま玄関を出る。

あたしはそれを見送り
玄関を閉めると
ポパイとそっと視線を交わした。

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