魅惑のキスネコ!【完】


先にリビングへ向かうポパイを追いかけ
ふと廊下に張ったカレンダーに目を向けた。

来週の金曜はバレンタインか。
チョコレートどうしようかな。

指で数字をなぞりながら
あたしはうきうきと考えをめぐらせた。


「みゃー」


「!ポパイ」

ポパイはぐるぐると
あたしの足元に何度も身を摺り寄せる。


「なぁにポパイ?」


「みゃー」


「ふふっわかんないよ」

そう答えると
ポパイはピタリと停まり
そのままそこに座った。

大きな瞳であたしを見上げる。

あたしも負けじと
その瞳を見つめ返した。


「・・・・
・・・あれ」

そういえば、と思い
もう一度カレンダーに視線を戻した。


いちにいさん・・と数え
またポパイに視線を戻す。

ポパイの尻尾が
少し揺れた。


あたしは慌ててトイレへ駆け込んだ。


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