永遠(とわ)に果てぬ愛



何を話しているのだろうか。

表情は、2人共真剣そのもの。

話しているのは林サンで、もう1人は頷いているだけだ。

不穏な空気が流れている。

そんな2人を、オレは気づかれないように見ていた。



「怜央、お待たせっ」



笑顔で和奏がオレの元へ来た。



「和奏ちゃん、また明日ねー」



オレがいるにも関わらず、ニヤニヤしながら和奏に挨拶をする林サン。

それを、聞こえなかったかのようにスルーする。

一応先輩だとか、もう配慮はないらしい。



「あの人、怜央の存在知ってもベタベタ触ってくる。
もう、先輩とか思わない。ただのセクハラするおっさんだよ」



家に帰ってから、怒るようにしてそんなことを言う。

付き合ってから和奏は、逐一男に関することを報告してくるようになった。

なぜかと聞いたら、あとで知られたり、あることないこと言われたりして喧嘩するのが嫌だからと。

思い返せば、付き合ってから喧嘩は1度もない。

オレが勝手なヤキモチを妬くことはあるけど、喧嘩にはならなかった。

こういうことを報告されると妬くけど、1人でモヤモヤすることはない。



「おっさんって年ではないけど、相変わらずなんだ。こりねぇなぁ」




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