婚恋
エピローグ

ずっとずっと好きだった

「陸!はーやーく!こっちこっち」
あのドタバタの結婚式から3ヶ月が過ぎた。
仕事が花屋と言う事もあり
サラリーマンの陸とは休みが合わずなかなか
休日を一緒に過ごすことは出来ないのが悩み。

だけど両親が同情してくれて
月に1回だけ土日休みをくれた。

今日はその休みを利用して陸とデート。
どうしても行きたいところがあったの。
それは陸との証拠写真を撮ったフラワーパークだった。

「そんなに走るなよ」
「だっているかいないかわかんないし、もしいたらちゃんと
報告したいんだもん!」
陸はやれやれと言った様子で私の後ろを歩いていた。
早歩きであの写真を撮った場所に向うと・・・・

いた!
50代のご夫婦があの時と同じように2人で花壇を見ていた。
「あの・・・」
私が声をかけると
2人は私を憶えてくれていたようで
「また会えましたね」
そう言って笑ってくれた。
すると奥さんが今日はおひとり?と尋ねるので
後ろを向き陸を指さすと奥さんはにっこりとほほ笑んだ。

「前に会った時よりもとてもいい顔をしてる。いい事でもあったかい?」
「はい。お陰さまで・・・3ヶ月前に結婚しました。」
すると二人はとても喜んでくれた。

3ヶ月前・・・・
ここに来た時に御主人が言った言葉
「そんな今にも泣きそうな顔をしてちゃだめだ。彼は君の事を
愛してる。もっと自信を持ちなさい。そして彼を手放しちゃ
ダメだよ。なんだか君たち見ていたら昔の自分を思い出してね・・・」
その時、もし今度会えたらその時の話を聞かせてくれると言った。
私はどうしてもその話が聞きたくて
思い切ってここに来た。

「あの話聞かせてくれませんか?」
すると二人は少し照れながらも頷いてくれた。
「すみません。妻が我儘言って・・・」
陸が申し訳なさそうな顔をするがご夫婦はベンチに腰掛けると
あの頃を懐かしむように離し始めた。

「妻とはずっと友達の様な関係だった。それぞれ恋人もいたし
お互いに幸せだった、片方が失恋すれば片方が慰める・・・
男女を超えた親友と思ってたんだ。
だけど妻が結婚すると聞いた時今までにない感情が襲って来たんだ。
それが彼女に対する愛情とは知らずにね。
結婚式の日が近付けば近付くほど気になって仕方が無くなった。
だけどそれでも僕は気付かなくてね・・・
妻も僕の事が気になってたらしいんだけど
聞くのが怖かったんだ。
そうお互いにね・・・だったらこのまま永遠に友達のままで
いよう。そう決めたんだけど、人間って不思議でね、
そう思えば思うほどより相手の事が気になって仕方がなくなるんだ。
それでね、その思いが爆発したんだ・・・しかも妻の結婚式の前日」
『前日?』
私と陸の声が重なった。
「そう…それでね・・・結婚式前日に連れ去っちゃったんだよね」
「えええええ!」
そんな事をするようなお顔じゃなかった。
「それで?」陸は身を乗り出した。
「そりゃその後は大変だったよ。親には勘当されるし、式場の
キャンセル料を払えって言われたり・・・でもそれでも彼女が
欲しかった・・・」
懐かしそうに御主人は奥さんを見た。
「あなたたちを見てたら似たような雰囲気を感じてね。
 手遅れになる前にちゃんと捕まえておきなさいよって意味で
アドバイスしたんだけど・・・・」
すると陸は
「僕たちも似たような関係でした。でもお陰さまで
ちゃんとお互いの気持ちを確かめ夫婦になりました」
御主人は満面の笑みでよかったよかったと陸の手を握った。



「よかった~~話聞けて」
「そうだね」
「あ!そう言えば私あの時のDVD見てないんだよね~~
 帰ったら見ていい?」
「いいけど・・・」
「いいけどなに?」
陸のバツの悪そうな顔を見てこれは何かあるなと思った私は
家に着くなりすぐに披露宴で流したDVDをみた。

そしてそこに写っている写真を見て驚いた。
「陸・・・これ」
そこに写っていたのは
陸と私がキスをしている写真だった。
しかもそれは高校の時・・・
バンドの練習をしている時だと思う。
眠っている私にキスをしてる陸だった。
「ね!これ・・・どうしたの?」
すると陸はバツの悪そうな顔で
「松田だよ。あいつが隠し撮りしてたらしいんだよね。
 式の前日これを流せってね・・・」

文化祭の練習のため音楽室で俺らは練習をしていた。
たまたまその日は春姫以外、日直だったり委員会なんかで
練習時間が大幅に遅れた。
用事がすんで俺は急いで音楽室に行くと
春姫はベースを抱えながら窓際の席で眠っていた。
その眠ってる姿に胸が跳ね上がった
気がついたとき俺は眠ってる春姫にキスをしていた。
俺のファーストキスだった。
それを目撃した松田がケータイのカメラで写真を撮った・・・らしい。

「じゃあ陸ってこの時すでに・・・」
たぶん俺はあの時から春姫に夢中だったのかもしれない
「好きだったよ。めちゃくちゃね・・・・」

the end
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