婚恋

優しいその手に・・・


抱きしめられた腕が背中に周りファスナーに手がかかるのがわかり
びくっとしてしまう。
だけどその手の動きが止まることはなかった。
締め付け感のないドレスはファスナーを下まで下ろすと
滑るように床に落ちた。
同時に陸も私から身体を離す。
そして後ろに回るとブラのスナップをぎこちなく外し始めた。
「ガーターベルトは自分で外せるよね」
耳元で囁かれ身体が跳ねる。
私は無言でそれを外した。
もう穴があったら入りたい気分だった。
最後のホックが外されると同時にブラが床に落ち
胸が露わになった
慌てて手で下着を隠そうとするが

「その手・・・いらないよ・・・」
もうここまできたら諦めるしかない
私は両手を力なく下ろした。

恥ずかしさのあまり陸の顔をまともに見る事が出来ず視線は斜め下で
泳いでた。
「ありがとう・・・俺のために・・・」
再び陸に抱きしめられると陸の胸に顔を埋めた。
「もう・・恥ずかしくて顔から火が出そうなんだけど」
陸はフフッと笑うと
「俺は春姫のこんなセクシーな姿にに鼻血が出そうだけど」
「もう!」
思いっきり睨むと、またいたずらっ子の様な笑みを浮かべた
「じゃ~~早くこの姿から解放されたい?」
「当たり前じゃない。早く着替えてー」
そう答えた途端、身体がふわっと軽くなった
「ちょ・・ちょっとな・・なに?下ろしてよ。こんな・・・
 こんな恰好で・・嫌・・おろして」
だが陸は私の言葉など聞いていないとでも言う顔で
階段を一段一段ゆっくりと登る。
「ちょっと!階段って・・・私めちゃくちゃ重いのに!
陸の手が折れちゃうよ!」
足をばたつかせる私に
「そんなにばたつかせられると本当に階段から落ちるよ。
 もう観念しなさい」
うううー
完全に陸のペースにはまってしまった。
これ以上はもうどんなにあがいても無駄だと思った私は
もう何も言わなかった。

2階に着くとすぐ目の前に寝室があった。
陸は私をゆっくりとベッドに寝かせると
部屋の照明を落とした。
ホッとしたのも一瞬で、なぜかベッドの前のカーテンを思いっきり開けた。
意外と明るい事に気がつき思わずベッドの中に潜る。
だが陸はそれを引き剥がし、覆いかぶさってきた。

視線が絡まる。
月灯りに照らされた陸の顔はとても色っぽく
思わず息を呑んだ。
顔が徐々に近づく、唇と唇が今にも触れそうな距離に
鼓動が速くなる。
多分私はこの先も陸に見つめられる度にドキドキするんだろう
だけどそれは嫌なドキドキじゃない。

私の手が陸の頬に触れる。
「春姫?」
「私今凄くドキドキしてるけど凄く幸せよ。陸・・・」
「俺も・・だよ」
お互いの唇が触れ愛おしさを満たす様なキスが繰り返された。

陸の手は私の身体をなぞるように下へ下へと時間をかけて
下りてくる。
それは腫れものに触るようにとても優しかった。
私はその動きに呼応するように身を委ねた。
体中にキスをしながら陸の手が私の足を撫でる。
そしてガ―タ―リングのある位置で動きが一瞬止まったかと思うと
それを一気に引き下ろした。
陸はガ―タ―リングを握り締める再び私に視線を合わせた。
そして私の前でそのガーターリングにキスをした。
「・・・・・」
「愛してるよ・・・春姫」

私も・・・そう言おうとしたがそれはキスで塞がれた
そしてそれは全身に注がれた。
私の息使いが徐々に荒々しくなる。
陸の指が私の敏感な所を刺激する度に
身体が否応なしに反応する。
その度に私の体は跳ね上がり陸の愛に溺れていった。

何度も繰り返される陸の愛に私はただただ
陸の名前を呼ぶ事しか出来なかった
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