十年戦争

─ルマ王国本軍基地─



街より少し離れた小高い丘の上に高い塀で囲まれた大きな施設があった。
そこがルマ王国本軍基地であり、その正面入り口に一人の少年がちっぽけに立っていた。




「どーやって入るんだよこれ」
俺はただ見上げるしか出来なかった。
建物のてっぺんは微かに見えるかというくらい高い。

そうして立っていると後ろから車の音が聞こえた。

「隊長。人が本軍基地の前に」
運転手はそう告げる。助手席の窓が開いた。

「そこの者立ち去れ。諜報員とみなすぞ」
スピーカーを通した声が飛んだ。

「あ、すいません。どうやって入るんですかー?」
近づく車に訊いた。
が、無視されてそのまま突っ込んできた。
目の前で止まった車から、兵士数人と若者が数十人降りてきた。

「俺、戦士になりたいんですよ。入れてください」

「ん?貴様はカイ・フレンバーか?」

「あぁ、そうだけど…」

「あの女は偽りを言っていないか」

「え?」

「いいや。独り言だ。よし。後ろの列に並べ」

「はい」

そう言われて、後ろの若者グループに入る。


< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop