十年戦争
「では、これより基地内部へと入る。もう出れないと思え。つまらない未練や足掻きは捨てろ。わかったか」
「はい」
俺も含む全員の返事が揃う。
隊長が大きな門の横でゴチャゴチャと何かをしている。
多分、キーロックを解除しているのだろう。
なんせ、全力で押しても動かない門だ。
開いた門から一列になって内部へと入っていく。
いよいよなんだ。
俺は戦士になって、国を救えるんだ。
胸の鼓動が速まる。押さえ切れなかった。
クネクネと曲がる細い廊下を歩き、やがて辿り着いた大きなドアの前に立ち止まる。
「いいか。これから入軍式を執り行う」
「何か学校みたいだな」
気持ちを抑えきれず前のヤツに喋りかけた。
「うるせぇ。お前ぜってー早く死ぬぞ」
「俺は生き延びてみせる」
「あっそ。生きてたらラーメンでもおごってやるよ」
そのまま目つきの悪い男は前を向いてしまった。
