十年戦争
ルマ王国の国立図書館の前に人だかりが出来ていた。

「また、例のアイツか?」
「らしいぜ。またやらかしたらしい」

野次馬に耳を傾けると、そのような言葉を拾った。


もう少し入り込んで野次馬の先頭に出る。

すると、数人の司書、数人の警官。その間には小さな男の子が居た。

「またお前か。これは重罪だぞ。わかっているのか?」
「知るか。あんな薄い本に歴史を書く方が間違ってるに決まってんだろ」
「この…もう我慢ならん。お前は兵令刑だ。十年後楽しみにするといい」

警官と男の子のやりとりに野次馬がざわめく。

「ふん。それまでに死なんようにな」
警官はそう吐き捨てるとパトカーに乗って去っていった。

「もう。ここには来ないでくれ」
司書もツカツカと図書館へと帰っていった。

それを見た野次馬はゾロゾロと解散をはじめ、残ったのは男の子だけだった。


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