俺様王子様に振り回されて
「顔、逸らすんじゃねーよ。

やっと、お前笑ったんだから・・・


もっと俺に見せろ。」





真っ直ぐに見つめられて。


真剣な声でそんな風に言われて。




不覚にも顔に熱が集中した。






森井の指に触れられている顎が、妙に熱い。









森井は、真っ赤になったであろう私を見て、くいっと口角を上げた。


嬉しそうに、上機嫌で。




「へぇ。俺のこと、意識してんだ?」


「~~~~~~!!!////」




こ、こいつっ・・・!!!

そういうこと、普通言うか!?



更に顔に熱が集中する。



意地悪にも程があるだろっ!


心の中で叫びつつも、私はパクパクと唇を動かすことしかできない。





・・・・・・だ、って・・・


意識してたっつーのは、本当で、反論、できねぇんだもん。









未だに森井は私の顎を掴んでいて、私は顔を逸らすことができない。




森井はなんか、真っ赤であろう私を見て、ニヤニヤ笑っている。






・・・あー・・・なんかもう、穴があったら入りたい気分だなぁ・・・。




しみじみそう思っていると――






「すっみませーん!大丈夫でしたかー?」









タイミング良く、野球部員が1人、教室に入ってきた。






おぉ!神は私を見捨ててはいなかったか!


と、野球部員ではなく神様に感謝していると。




森井が、口を開いた。






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