俺様王子様に振り回されて
「怪我人0で、問題は割れた窓ガラスだけだから。

邪魔すんな、さっさと出てけ。」



・・・・・・森井、声が低いぞ、怖いぞ、不機嫌そうだぞ。


そして何より!超失礼!!!




心の中で憤慨していると、野球部員の声が聞こえた。



「解りましたぁ!お楽しみを中断してしまい、すっみませんでした。

邪魔者は消えますんで。どうぞ、楽しんでてください!」






次の瞬間には、遠ざかる足音が――って、えぇ!?



ちょっ、まっ・・・アイツ、なんか、勘違いしてね!?


"お楽しみ"ってなんじゃこらぁあああ!!!!!





「じゃ、"お楽しみ"続行するか♪」



森井が妖しげな笑みを浮かべて、顔を近づけてきた。


勿論、私の顎は未だに捕獲されたままで、顔を逸らすことは不可能。






・・・・・・なんか、危険な予感がするんだが・・・。



誰か"お楽しみ"が何か教えてくれっ!!!





切実に思った時、だんだん近づいてくる足音が聞こえた。





ピタリと森井の動きが止まり、不機嫌そうに眉をひそめる。




今度は、野太い男の声が聞こえた。



「おい!お前ら学校内で何やってんだっ!!!」






・・・・・・やはり神は私を見捨ててはいなかった。



担任・マッツー登場!!!





森井は「ちっ」と、舌打ちをしながらも、渋々私から離れた。



「なーんもやってませんよ、先生。俺"まだ"キスもしてません。」


「俺があと一歩遅かったら、してただろ!!!

気になって来て見て正解だぜ。」


「自分がする相手いないからって、ひがまないでくださいよ。」


「ひがんでねぇ!!!」


「へぇ~?」




森井は信じてないようにマッツーを見る。



私は"キス"という単語に、頭の中を真っ白にさせていた。





だから――




森井の態度に憤慨し、体をふるふると震わせた我が担任が。




「森井と石原!明日から一週間、放課後残って掃除をしてもらう!!!」





などと叫んだことに、ただ頷いてしまったんだ。





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