俺様王子様に振り回されて
連れ出してもらえなかったら、かなりの混乱状態に陥っていただろう。


というか、あの時点ですでに混乱状態だったけど。












羽依はその後、私の手を引き、

羽依のお父さん・・・斎(イツキ)がやっている

喫茶店まで走った。




で。


『茜、大丈夫?

あの、なんかヤバそうだったから連れ出したけど・・・


連れ出さなくても、平気だった?』


などと、心配そうに聞いてきた。




勿論、思いっきり首を横に振った。


羽依は一瞬ほっとした顔を見せた。



けどすぐに、また心配顔になった。


そんで、言ったんだ。





『森井先輩、"来る者拒まず、去る者追わず"で、

有名なのに・・・・・。


もしかしたら、茜、大変なことになるかも。』


と。



そして、更に。

真剣な顔で言われてしまった。




『でも、茜、森井先輩には逆らえないでしょ?

だって、仮にも助けてもらったんだから。』







これにはう゛っと詰まった。


さすがは羽依。

私のことが分かっている。



私は"恩は絶対に返さねばならない"と思っている。


つまり。



奴に逆らえない可能性大・・・というか、

おそらく逆らえないだろう。








< 16 / 172 >

この作品をシェア

pagetop