俺様王子様に振り回されて
奴は一瞬、目を丸くさせてから。



―――笑い出した。






いやいや、なんでだよ!!!


どこに笑う要素があった!?

一体どこに!?





「あー、お前、マジおもしろい。

女ならああ言われて、言い返さねぇって。普通。」



あ、そういうことか。



「私、どうも普通じゃねぇみたいだからなー。」


うんうんと頷きながら言えば。

奴は不思議そうに聞いてきた。



「普通じゃないって分かってんのに、直さねぇの?」


今度は私が不思議そうに奴を見た。




「普通じゃねぇからって、別に悪いわけじゃねぇじゃん。

直す必要、無いだろ。」



そう言えば、奴は目をパチクリさせた後。


納得したというように、頷いた。




「確かに、な。別に直すもんじゃねぇか。

・・・俺も、ソコが気に入ったわけだし。」



「あ?最後、なんて言ったんだ?『直すもんじゃねぇか』の後。

聞こえなかったんだが。」




首を傾げながらそう聞けば、奴はふいっと顔を逸らして。

マンションに向かって歩き始めた。





「別に、なんでもねぇよ。

ほら、さっさと入るぞ。」







なんか、ごまかされた気がするが・・・


まぁ、とりあえず中に入るか。





私は、奴の後を追ってエントランスに入っていった。








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