俺様王子様に振り回されて
そんな私の心の叫びに、森井が気づくわけもなく。



「これ、命令だからな。

お前は俺のモノだろ?逆らうな。」



・・・・・・・・・くっそー!!!




「わかったよ!作って一緒に食べりゃいいんだろ!」


「そうそう。

で、心配すんなよ。」



森井はサラリとそんなことを言った。



「心配?」


首を傾げれば、森井は真っ直ぐに私を見た。




黒い瞳が、ギラリと輝く。



「お前を閉じ込めた奴らは、俺が何とかしとくから。

お前は、心配しなくていい。」




真剣に紡がれた言葉に促されるように、私は頷いた。



「あ、あぁ・・・ありがとう・・・・・」




そんな私に、森井はフッと笑った。



「礼はあとでたっぷりもらう。

だから今は、早く授業に行けよ。遅刻するぞ?」




その言葉に私はハッとして、慌てて弁当箱を2つ引っつかみ、駆け出した。





「じ、じゃあな!」


後ろを向いて、どもりながらそう叫んだ後、私は前を向いた。







真剣な森井を見たとき。



心臓が、嫌ってくらいドキドキいった。





「・・・・・・っ・・・ホント。何なんだよ・・・」



熱い頬を、腕で隠しながら駆ける。






調子、狂いまくりだ・・・。








この通路を真っ直ぐに行けば教室だ――と思った時。




――――ぐいっ!!!!!!







女子トイレの入り口の影から伸びてきた手に、強く腕を引っ張られた。






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