七神〜私と君で咲かす花〜



「ようこそ」



「!!?」



後ろから急に声がした。



振り返ると、そこには私と同い年くらいの女の子が立っていた。



高い位置で結んだ薄紫の髪に、透き通るような白い肌。



黒地に桜が描かれた、太ももまでの短い浴衣。



頭には、狐のお面が付けられている。



可愛いというより、美しいと言った方が正しいだろう。



「誰…?」



当たり前の質問に対し、彼女は静かに答えた。



「…私の名は桜美夜行」



「おうみ……やこう…?」



訊き返すと、彼女は深く頷いた。



すると今度は、さっきとは対照的に、軽快に説明をしてきた。



「そ、桜に美しいで桜美。んで、夜に行くで夜行」



「は…はぁ…」



とりあえず、詳しく説明してくれたことに感謝。



桜美夜行は、私から桜の木に目を移した。




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