Always

Side.F*I go home to home*

おととしは風邪をひいた。

去年は七緒の受験。

何かと理由を考えては、年末年始に実家へ帰ることを拒否していた。

「――久しぶりだな…」

12月30日、僕は実家の前に立っていた。

宮殿のような恵の家とは違い、僕の家は文字通りの“屋敷”だ。

インターホンに手を伸ばすと、チャイムが鳴った。

ピーンポーン

「はい、どちら様でしょうか?」

母親の声に、
「僕です、風吾です」

僕は答えた。
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