Always
母親に案内されるようにリビングに顔を出すと、
「おっ、今年はきたんだな」

ソファーで新聞を読んでいた英吾兄さんが僕に気づくと、声をかけてきた。

「まあ、はい…」

帰るように言ったのはあなたたちじゃないかと、僕は言いたくなったが飲み込んだ。

「お久しぶりです、風吾さん」

英吾兄さんの奥さん、和美さんがティーセットを持ってリビングに現れた。

「お久しぶりです」

僕は和美さんに会釈をした。

「そこに突っ立ってないで、風吾も座ったらどうだ?」

英吾兄さんが僕をソファーに座るように促した。

「その前に部屋へ荷物を置きに行ってきます」

僕はそれまで足元に置いていたカバンを手に持つと、逃げるようにリビングを出た。
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