Always
「――先生は…。

先生は…私のことなんて、どうでもいいんでしょう?」

芹沢さんは濡れた手で濡れた顔をぬぐった。

「どうでもいいから…。

私のことなんて、どうでもいいから…」

声が震えることに耐えることができなくなったと言うように、芹沢さんは顔を隠すように両手をおおった。

その様子に、僕は芹沢さんが悩んで、苦しんでいたことを知らされた。

8月のあの日、お酒の勢いに任せて一線を越えてしまったことを。

彼女は僕以上に悩んで、そして苦しんでいた。

僕はなんて、臆病者なんだろう。

そして、バカだったのだろう。

本当は気づいていたかも知れないけど、気づかないふりをした。
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