Always
傷つくのが怖いから、気づかないふりをして黙っていた。

悪者になりたくないから、気づかないふりをして黙っていた。

臆病者もいいところだ。

もう、悩むのはこれくらいにしよう。

彼女から苦しみを解放してあげよう。

そして、傷つこう。

「――違いますよ」

口を開いた僕に、芹沢さんは顔を隠していた手を外した。

「あなたのことを、どうでもよくなんて思ってません」

「――ッ…」

戸惑っている芹沢さんに僕は歩み寄ると、
「――ッ…!?」

彼女を、抱きしめた。
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