Always
かごを持つ手が震えているのが、自分でもよくわかった。

私、阿久津くんに何にも言い返せない。

彼の性格に、高校を卒業して何年か経った今でも苦手意識を感じてる。

「――私のことなんてほっといて!」

悲鳴のような声をあげて叫んだ私に、それまで話をしていた阿久津くんが止まった。

その場にいた人たちが、何事かと言うように私たちに注目している。

「――あっ…」

どうしよう…。

周りに人がいることを忘れて、ついカッとなって叫んでしまった。

「すみません、僕のせいです!」

阿久津くんが謝っている。

…私、謝ってなんて頼んでないよ?
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