Always

Side.F*That childhood friend told me*

4月も終わりに近づいた夜のことだった。

「――フーゴ、入ってもいいか?」

部屋でカプチーノを飲みながら読書をしていた僕に、ドアから恵の声が聞こえた。

「どうぞ」

ドアに向かって呼びかけると、カチャッとドアが開いて恵が入ってきた。

僕は読んでいた本にしおりを挟むと、テーブルのうえに置いた。

「久しぶりだな、フーゴの部屋に入ったのって」

恵は呟くようにそう言うと、ソファーに腰を下ろした。

「何か用事?」

ソファーに座った恵に、僕は声をかけた。

「用事と言うよりも、フーゴに渡したいものがあったからきたんだ」

恵はそう言ってシャツのポケットから、小さな青い巾着袋を出した。

そこから恵の手のうえに、ポロンと何かが出てきた。
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