Always
「萌さん」

久しぶりに、彼女の名前を呼んだ。

萌さんはビクッと躰を震わせた後、
「――はい…」

呟くような声で返事をした。

落ち着いて。

ちゃんと話をすれば、わかってくれるから。

「――まだ、僕のことを…好きですか?」

「えっ…」

僕の質問に、萌さんは戸惑っていた。

「――風吾、さん…?」

萌さんが戸惑いながらも、僕の名前を呼んでくれた。

ああ、まだ僕の名前を呼んでくれているんだ。

小さなことのはずなのに、大きな期待を抱いてしまう。
< 283 / 303 >

この作品をシェア

pagetop