ハリネズミの恋
いつもは軽薄な太が言ったその言葉は、俺の心の中にスッと入る。

そして、ズシッと重くのしかかった。

「太」

「んー?」

「俺、お前が親友でよかったわ」

俺にそう言われた太は、
「…そうか」

呟くように返事をすると、抹茶オレのストローを口に入れた。


その日の放課後。

ホームルームを終えたとたん、寧々はカバンを持つと早足で教室を出た。

「じゃあ」

「また明日な」

教室で太と別れると、寧々の後を追った。

寧々をつかまえて、自分の思いを言う。

心の中で強く誓いながら寧々の後を追っていた時だった。

「霧ヶ峰くん?」
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