ハリネズミの恋
――わたしと一緒にいるところを見られたら厄介なだけじゃない?

いつか言った寧々の言葉が、頭の中に浮かんだ。

「――俺はさ…」

呟くように言った俺に、太が抹茶オレのストローを口に入れた。

「寧々は寧々だって、思ってるんだ」

「うん」

ストローを口から離した太はうなずいた。

「寧々にどんな過去があろうがなかろうが、寧々は寧々だ」

「七緒がそう思ってるんだったらさ」

太が言った。

「俺じゃなくて、針井ちゃんに言ったらどうなの?」

太に言われて、ハッとなった。

「今日は部活休みなんだろ?

放課後に針井ちゃんをつかまえて、今七緒が思ってることを言えばいい。

たったそれだけのことじゃんか」
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