ハリネズミの恋
その瞳に向かって、俺は答える。

「寧々だから受け取って欲しいんだよ。

大切なものは、大切な人に受け取って欲しいんだ」

5ヶ月前はあきらめてた。

マーサ以外の女を好きになることなんて、ないだろうと思ってた。

だけど…寧々と一緒のクラスになって、一緒にクラス委員を務めて、ひかれて、恋をした。

寧々が、俺の大切な人だってことに気づいたんだ。

寧々は微笑む。

「はい」

うなずいて答えた寧々に、俺はチェーンを寧々の首にかけた。

寧々の首元で、ベビーリングがキラキラと輝き出す。

「わたし、すごく嬉しい…。

大切な人から、こんな大切なものをもらって…夢見てるみたい」

寧々ははにかんだように微笑んだ。
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