メロンジュース
「お待たせー…って、メグはまだいないのかよ」

キャメルのピーコートにオレンジ色のマフラーを首に巻いたナナがやってきた。

「何やってんだろうね」

あたしはナナに言った。

さすがは金持ちの家と言うことで家中は暖房が効いていて温かいが、やはり待っているのはつらい。

「オレンジ好きなんだね」

特に何にも話すことがないので、あたしはナナのマフラーを指差すと言った。

「えっ…ああ、まあな」

ナナは首を縦に振ってうなずきながら答えた。

「悪い、待たせた」

メグがやっと玄関に現れた。
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