龍神様との恋愛事情!


 暑い日差しが照り付ける。

川の流れる爽やかな音が耳に心地好い。


「桜!そっちは深いから気をつけろ!」


桜?桜って誰だっけ…?


「桜?聞いてるか~?」


「あ、うん!わかってるよ!」


同い年くらいの男の子に返事をする私。


そうだ…。

桜って……私のことだ。


蝉の鳴き声を聞きながら、私は友達と川で遊んでる。


今からずっと昔。

まだ河童が川に潜んで私達にイタズラをしかけてくるのが当たり前だった時代。


そう、確か……私は十二、三歳くらいだった。


「桜ちゃん!待ってよ~」


私を追いかけて川に入ってくる赤い着物の女の子。

雰囲気が朱美ちゃんに似てるなぁ。

名前は何だっけ?


「文(ふみ)も行くの~!」


そうだ。文ちゃんだ。


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